Ep.2 映画館でアカデミー賞を観よう!|ニューヨーク映画案内

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今年も米国アカデミー賞授賞式が3月2日(現地時間)に迫ってきました。皆さんは毎年アカデミー賞をご覧になるでしょうか?

私は学生時代からアカデミー賞を観るのがとても楽しみでした。当時は授賞式が3月後半に開催されていたので、学校もちょうど春休み。月曜の朝(ロスアンゼルス現地の日曜の夜)、テレビにかじりついてレッドカーペットのハリウッドスター達に心ときめかせていたものです。

学生時代が過ぎてからも、アカデミー賞は毎年心待ちにしていました。そこで考えるのは、授賞式をどこで観るか。家のテレビでゆっくり観るもよし、友人と集まって鑑賞パーティーを開くもよし、バーやイベントでワイワイ観るもよし。

そんなある年、私は映画館でアカデミー賞を観ることができると知りました。これは映画館好きとしては行ってみるしかない。早速、女優の友人を誘って参加してみることにしました。

会場はマンハッタンの南、ロウアーイーストサイドにある映画館メトログラフ。2016年にオープンしたメトログラフは、倉庫を改装して作られた2スクリーンのシアターです。1階にはバーラウンジ、2階には映画本の売店とレストランが併設されており、主にシアターセレクトの名作や海外の作品を上映しています。

内装や、販売されているお菓子などもこだわりのおしゃれな空間で、チャイナタウン近くの少しわかりにくい立地にも関わらず、普段から多くの観客で埋まっている印象です。私も、多くの作品をこの映画館で鑑賞しました。

そんなメトログラフでのオスカーナイト、開場は授賞式開始の1時間以上前だったにも関わらず、私たちが着いた時にはすでにかなりの人で賑わっていました。シアターの1階とラウンジでの視聴は無料。2階のボックス席とレストランは有料で、予約必須でした。

オスカーナイトのメトログラフのロビー
オスカーナイトのメトログラフの外観

受付では、各々で受賞者を予想できるようにノミネートリストが印刷された用紙をもらえます。売店では推しの名前が入ったポップコーンも購入できて、細かいところまでワクワク感が増す工夫が凝らされていました。

鮮やかなお菓子が並ぶ売店。日本など海外のお菓子も置いてある。
よく見ると、ポップコーンの入れ物にノミネートされている作品や俳優の名前が。

そしてここからが正念場。みんな座席を取るのに必死です。私と友人も2つのシアターを行ったり来たり。「そこ空いてる?」「ここは連れがくるから取っておいてるんだ」という会話を繰り返し、やっと座席を確保することができました。

着席したらそこからはゆっくりと授賞式を楽しむのみ。いつもは映画が映し出される大スクリーンで見る授賞式は、とにかく楽しい。受賞者発表の瞬間のみんなの反応も、満員の映画館で鑑賞する醍醐味です。

その年は映画「スキャンダル」でメイクアップアーティストのカズ・ヒロさんが受賞したり、「アナと雪の女王2」の挿入歌を世界9カ国の声優が歌う演出に松たか子さんがいたりと、日本人の私にもかなり嬉しい内容でした。また、韓国映画「パラサイト」が外国語映画として初めて最優秀作品賞を受賞した瞬間を大スクリーンで観ることができたのも、貴重な体験でした。

ヘアメイク部門で最優秀賞を受賞したメイクアップアーティストのカズ・ヒロ氏。
「パラサイト」で監督賞、脚本賞、作品賞を受賞した韓国のポン・ジュノ監督。

思う存分楽しめたオスカーナイト、「来年も行きたい!」と思っていた矢先にコロナが大流行。メトログラフも2021年10月まで休業を余儀なくされました。が、営業再開してからは徐々に観客も戻ってきて、シアターが再び満席となることも増えました。

そして2024年、とうとうメトログラフでのオスカーナイトが戻ってきました。待ちに待ったオスカーナイト、また同じ友人を誘って参加することにしました。

しかし心待ちにしていたのはみんな同じ。私たちが到着した時には、シアターは前回以上にごった返していました。ぐるぐる館内を周りながら座席を探すも、今回は全く見つかりません。仕舞いには入場制限をされ、座席が見つからなかった者は私たち含め映画館を追い出されてしまいました。

アカデミー賞難民となった私たち。近くのスポーツバーで無声でアカデミー賞を見るも、いまいち楽しめず。結局、それぞれ家で見ようと解散する羽目となりました。

いつかまた映画館でアカデミー賞を鑑賞したいです。皆さんも、もし授賞式の時期にニューヨークを訪れる機会があれば、ぜひメトログラフでのオスカーナイトに参加してみてください。ただし!とにかく早めにシアターに到着することを強くお勧めします。


メトログラフ:https://metrograph.com/
米国アカデミー賞公式サイト:https://www.oscars.org/

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この記事を書いた人
はるこ

神奈川県出身。短編映画を国内外で制作しています。最新作「Ramen Symphony」は現在、映画祭にエントリー中。好きな映画のジャンルは旧作、時代物、ヒューマン系など。最近はドキュメンタリーにもハマっています。

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