学生による映画応援団!「映画チア部 神戸本部」に取材しました!
カシミヤフィルムのみどりが、気になる人たちにインタビューさせていただくコーナーをはじめました!
第一回目は、関西の学生による映画応援団 「映画チア部(以降:チア部)」(公式サイト)に取材させていただきました。
カシミヤフィルムは「ミニシアターに足を運ぶ人を増やす」「若い世代に映画と出会う機会を提供する」ことを目的としており、まさにチア部の活動は、その理念と共鳴するものでした。しかも、こうした活動を学生主体で運営しているという点に感銘を受け、ぜひ話を伺いたいと取材を申し込みました。
実際に話を聞いてみると、彼らの活動内容のクオリティの高さだけでなく、自主性・企画力・協調性の高さに圧倒されました。(もし私が採用面接をしていたなら「即戦力」として迎えたいと思ったほど…笑)
印象的だったのは、彼らの活動が単なる情報発信にとどまらず、地域の映画館やショップと連携し、観客と映画をつなぐ独自の企画を実施していることです。映画の魅力を伝えることはもちろん、地域の活性化にも貢献する姿勢には、可能性を感じました。
このような素晴らしい活動を続けることができるのは、日々、多様な作品に触れ、感想を共有したり、地域の方々とつながることで、人間力を磨き続けているからではないかと勝手ながら感じました。そして、何よりも映画への愛情が根底にあるからこそ、彼らの発信は説得力を持ち、広がりを生んでいるのだと思います。
今回の取材を通じて、チア部の活動を皆さんに知っていただきたいと思い、彼らの活動の一部を本記事でご紹介します。ぜひご覧ください。
映画チア部とは?

神戸の元町映画館を拠点に映画やミニシアターを応援すべく活動している、学生による学生のための映画宣伝隊です。主な活動は、学生の参加者を募って一緒に映画を観に行くシネマツーリングやパルシネマとのオールナイト上映、映画関係者へのインタビューや宣伝協力など…様々な形で映画を盛り上げています。2015年に元町映画館から発足し、今年で10周年を迎えます。
お話をお伺いした方
映画チア部 神戸本部 うえのさん、ゆいさん
楽しい企画がたくさんのオールナイト上映
―まずは、お二人が所属する神戸本部の活動についてお伺いしたいと思います。
神戸本部では、元町映画館(公式サイト)を拠点に活動しています。
主にオールナイト上映などの上映企画やミニシアター初心者の方と一緒に映画を観る「シネマツーリング」などの企画を行っています。2015年に元町映画館から発足し、今年で10周年を迎えます。
―オールナイト上映はどのようなことをされているのですか?
パルシネマしんこうえん(公式サイト)で、一夜限りの3本立てのオールナイト上映を開催しています。上映作品の提案や相談、場内の飾り付け、幕間に流す動画の製作などを行なっています。
現在、関西でオールナイト上映を実施しているのはパルシネマしんこうえんのみとなりました。スタッフが関わりながら上映を支えている映画館はここだけです。
―過去に行った企画で好評だったものを教えてください。
過去には今泉力哉監督を招いた2日連続のオールナイト上映「パルシネマ オールナイト上映~“2夜連続”今泉力哉監督特集~」を実施しました。この企画は第一弾の今泉監督特集が大変好評で満員御礼となり、第二弾として実現したものです。
今泉監督がX(Twitter)で「オールナイト上映をしてほしい」と呟いていたのをきっかけに連絡し、特別上映が実現。『愛がなんだ』、『街の上で』などのヒット作を始め、配信やDVD化されていない自主制作作品や、Netflix限定配信だった『ちひろさん』などを含め8作品を特別に上映することができました。この企画は連日満席となり、大変好評をいただきました!

また『Uボート』など潜水艦映画特集の時は専門家をお招きしてトークショーを行ったり、『きっとうまくいく』などインド映画特集の時はマサラ上映を取り入れてみたり、独自の企画を実施しています」。

シネマツーリングについて詳しく教えてください。
学生と映画チア部が一緒にミニシアターで映画を観る企画です。「ミニシアターに行ったことない方のデビューを応援する学生限定イベント」として、「シネマツーリング」を定期的に開催しています。「学生がミニシアターに行きづらい」という声を受け、みんなで映画館に足を運ぶ機会を作ることを目的としています。映画を観終わったあとに近くのカフェや飲食店などで感想を語り合う時間も設けています。また、ただ映画を観に行くだけでなく、舞台挨拶にご登壇された監督や俳優と、上映後に交流の場を設けることもあります。

地域の方とつながる活動
―その他、過去に行った印象的に残っているイベントはありますか?
映画『ゴースト・ワールド』をイメージしたフリーマーケットを開催
映画に登場するガレージセール(主人公のイーニドがシーモアと出会うシーン)をイメージし、古着や映画パンフレットなどを販売するフリーマーケットを開催しました。
また、イラストレーターとコラボし、映画のイラストの展示会を実施したり、地元の古着屋や古本屋と協力して映画の世界観を再現するなど、映画の魅力を体験できるイベントとなりました。


ふたばZINEフェス
2024年6月30日に開催された「ふたばZINEフェス」では、映画に関するZINEをその場で作るワークショップを実施しました。
このイベントでは、映画の魅力を伝えられるZINEをつくるために、映画に関する質問(例えば、最近観た映画は?ミニシアターでやって欲しいイベントは?)などの紙を壁に貼り付けて、付箋に回答を書いていただき貼ってもらうという形で、お客様と交流しました。また、ZINEを制作されているクリエイターの方に映画チア部がインタビューを行い、アイデアの出し方や制作のポイントなどをお聞きしました。その後、皆様に書いていただいた付箋やインタビューで得た内容を活用して、その場でオリジナルのZINEを制作しました。
このZINEフェスを主催するNPO法人ふたばとは、これをきっかけに交流が始まり、今後も連携して活動を続けていく予定です。



また、このイベントをきっかけに交流が深まり、「大人の小學校」というトークイベントにも登壇させていただきました。

大阪支部と京都支部の活動について
―大阪支部と京都支部での活動について教えてください。
映画チア部は神戸本部のみでなく、2018年からは大阪のシネ・ヌーヴォ(公式サイト)が拠点の大阪支部、京都の出町座(公式サイト)が拠点の京都支部ができ、関西を中心に学生がミニシアターを盛り上げる活動をしています!
SNSなどのメディア発信でも活躍中!
―イベントだけでなく、Webを活用した情報発信も活発に行っています。その内容について教えてください。
映画レビューや監督インタビューの記事を掲載
映画監督、プロデューサーやキャストの方へのインタビューや、映画の感想を発信しています。
最近だと『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』公開時に阪元裕吾監督にもお話を伺いました。(インタビュー記事はこちら)いちばん印象に残った取材は、ジャン=ポール・ベルモンド傑作選3の時には映画評論家の江戸木純さんにインタビューさせていただいたことです。クラシックの名作が好きなので、作品についてはもちろん当時の製作の裏話や今とは違う映画事情なども知ることができて、映画の見方が変わる貴重な体験でした(うえのさん)

映画チア部とホンネでシネマ
関西のミニシアターで上映されている作品を取り上げ、映画を観たチア部員とコメント欄を通じてリスナーの方と共にその作品について語り合うラジオ番組。

もっと知りたい!チア部へ深掘り質問
―素晴らしい活動をされているチア部の皆さんですが、将来、映画関係の仕事に就きたいという希望はありますか?
僕は趣味にとどめようと思っていますが、配給会社に就職した方も居ます。
実際に、チア部出身の方が元町映画館で働いています。(うえのさん)
―活動を続けるうえで、どんな反響をいただいたときが嬉しいですか?
ラジオなどの企画で取り上げたことをきっかけに、「映画を観ました!」「この映画館に行きました!」などのコメントをいただくと、とても嬉しいです。
映画好きの友達がいないという方にとって、チア部が拠り所のような存在になっていたら嬉しいですね。(うえのさん)
―映画館の方はチア部の活動についてどのように感じているのでしょうか?
きっととっても嬉しいと思うのですが…!
直接伺ったわけではありませんが、定期的に企画の依頼をいただいたり、同世代が主人公の映画や20代の監督作品があると「協力してほしい」と声をかけていただいています。
また、ご厚意で会議や取材時に劇場の部屋を貸していただくこともあり、応援してくださっているのだと感じています。
―カシミヤフィルムでも、普段映画を観ない方に映画を観てもらう機会を作りたいと考えていますが、どのようにすれば観てもらえると思いますか?
まずは自分が語ることが大切だと思っています。
記事を書く際も、「どうすれば観てもらえるか?」を意識しながら感想を書くようにしています。
特に、学生目線で「今の自分だからこそ感じること」を大切にし、他の方とは異なる、自分にしかない視点を見つけて記事にするよう心がけています。(うえのさん)
―若い頃は人と映画の感想を言い合うのが苦手でした。自分と違う意見に傷つくこともありましたが、どのように対処されていますか?
「みんなが同じ映画を好きなわけではない」という前提で、相手の意見を聞き流すようにしています。
また、SNS世代ということもあり、自分とは反対の意見を持つ人がいることには慣れているのかもしれません。
SNSでさまざまな意見を目にしても、基本的には受け流し、ムキにならないようにしています。(うえのさん)
―今後の目標はありますか?
私が入部してから大きな企画(過去に行われていたような上映会や映画制作)ができていないので、卒業までに1つは実施したいです。
また、今は部員を増やすことが目標です!(ゆいさん)

「映画チア部」のみなさん、快く取材に応じてくださりありがとうございました。
私の活動の励みになると同時に、将来の映画業界に希望の光を感じることができました。カシミヤフィルムでは引き続き、「チア部」のみなさんを陰ながら応援させていただきます!!

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