5/25.Sun鎌倉の上映会でも好評だったカシミヤフィルム編集部の藤本東子監督作品『おくさま』の上映会が決まりましたのでお知らせします!
フェローズ月1短編映画上映会
株式会社フェローズが、毎月(月に一度)、厳選した珠玉の短編映画を上映するイベントです。
短編映画の素晴らしさや魅力をより多くの方に知っていただく機会であり、この場がクリエイターの皆さまの交流の場となり、映画監督・才能あふれるクリエイターの発掘や映像文化・クリエイティブ産業の発展に繋がることを目指しています。
開催概要
第10回上映会
■日時
2025年6月12日(木) 開場:18:30/開演:19:00(2時間)
※上映後に作品関係者(監督)の登壇を予定しています
■会場
ユーロライブ(渋谷区円山町1-5 KINOHAUS 2F)
http://eurolive.jp/
※入場無料(各作品に応援金を提供できるシステムを用意いたします)
作品情報
【キャスト】
鳥之海凪紗/横田実優/田村祐貴/近藤佑子/成田航
【スタッフ】
監督・脚本・編集 藤本東子/撮影 高橋りょうすけ/撮影助手・録音 安田祐矢/ヘアメイク Shion/着物着付け 炭田奈月
【あらすじ】
1920年代の東京。若い女中のカヨは、裕福な若夫婦宅に奉公している。華やかな生活を送る若奥様を羨むカヨだったが、現実は見かけとは違い・・・。
大正時代を舞台に、歳は近いが立場の異なる女性二人の交流を描いた作品。
藤本東子監督
神奈川県出身。ニューヨーク市立シティーカレッジ映像制作科を卒業。国内外で短編映
画を監督、製作。2022年製作の『おくさま』はCUNY Asian American Film Festivalで最優秀フィクション賞を受賞。2024年CUNY TVで放映。2023年製作の短編ドキュメンタリー『The (New) Normal』はInternational Filmmaker Festival of New Yorkに選出。
現在、イギリスでの短編映画製作に向けて準備中。
『おくさま』レビュー
僅か15年間の大正時代。その短い時代に僅かばかり産声を上げた(上げかけた)個人という概念。1人のおくさまと彼女に仕え為1人の女中さん。2人を写す鏡が2人の関係の変化を表しています。1回目は、2人の関係は完全におくさまと女中。おくさまは矢継ぎ早に女中かよちゃんに仕事を頼む。まるでそれがおくさまの地位をはっきり示すように。2回目、2人は一緒に鏡に写ります。おくさまは、かよちゃんに「私とかよちゃんは似ていると思うの。」意味のない戯言のようですがここで初めておくさまはかよちゃんの存在を認識し、2人の個人として鏡に写るのです。3回目は、、さらに2人の関係が変化していきます。25分の短い上映時間の中に大正の社会が浮かび上がってきました。
大正と令和、時代は隔てたが愛に対する態度というものは、さして変わらない。愛されたいか。それとも、愛したいか。夫婦にはどちらも必要か。愛とはtakeか、それともgiveか。そんなことをとりとめもなく考えた。
思うに、takeだけでは愛にはならない。giveすることで、人は初めて愛を形成できる。giveが愛になるなら、カヨは奉公しながらも長谷川夫妻、とりわけ「おくさま」からの愛をもらっている。だから、カヨは「おくさま」を嫌いになれないんじゃないかと思った。
愛とは二人の関係を光で照らし出すものだ。光ができるということは、同時に周囲に闇を作り出すことでもある。だから外側からでは、二人の内側にある愛は見ることができない。長谷川夫妻の関係はもちろん、カヨと「おくさま」の関係も、内側からそっとのぞいてみてほしい。
はるこさんとは、知り合った当初から濃いお話をたくさんしました。はるこさんの好きな映画、映画製作に対するお話など。そんなはるこさんが作った映画ってどんな映画なんだろう、と楽しみにしていました(NYで撮った作品は事前に拝見していましたが、日本を舞台にした映画を観るのは初めてでした。)まず、ロケ地、セット、衣装など本当に凝っていて素敵でした。大正ロマンの世界にタイムスリップしたような気分。裕福で何不自由無い生活をしているように見える若い「おくさま」と、影で見守る女中さんの物語。クリームソーダーはどんな味だったんだろう?蓄音機で聴くレコードはどんな音だったんだろうと想像しながら楽しく観ました。『小さいおうち』が好きな方はハマると思います(私は大好きです)
カシミヤフィルム代表 みどり