こわれゆく女|ジョン・カサヴェテス

カシミヤフィルム

こわれゆく女

監督:ジョン・カサヴェテス 公開:1974年

こんな人におすすめ

  • 家族の絆を感じたい
  • バイオレンスな女性が好き
  • 刑事コロンボが好き

こんな話

精神的に不安定な主婦メイベルが、家族や社会から孤立し、徐々に心を病んでいく様子を描いた深い心理ドラマです。
カサヴェテスの妻であるジーナ・ローランズがメイベル役を熱演し、その圧倒的な演技力が作品全体を支えています。
カサヴェテスのリアリズムと人間の内面を鋭くえぐる視点が、観る者に強い衝撃を与えます。

見どころ

ジーナ・ローランズとピーター・フォークの名演技

情緒不安定なメイベルを見事に演じきったジーナ・ローランズと、壊れゆく妻を支えた夫・ニックを演じるピーター・フォークの名演技を思い切り楽しんでください。

リアリズムのある設定や脚本

劇中でニックが子どもたちを連れて海に行くシーンがありますが、そのシーンがリアルすぎて胸が痛くなりました。母親不在の遠出。普段は妻が子どもたちの面倒を見ているため、夫は勝手がよくわからない。子どもたちの心細そうな雰囲気に胸が詰まりました。

家族の崩壊と再生

子どもたちは皆、母を愛し、夫もまた妻を愛している。妻も家族が大切で仕方がない。危ういバランスで成り立っている家族の絆が描かれています。

感想

ジョン・カサヴェテスの映画で最初に観た作品がこの「こわれゆく女」でした。 主人公の情緒不安定な状態があまりにもリアルで、観ているこちらまで少し情緒不安定になりそうなくらいです。

ジーナ・ローランズとピーター・フォークの存在感が圧倒的で、特にジーナ・ローランズがジョン・カサヴェテスの妻ということもまた味わい深いものがあります。

ピーター・フォークは『刑事コロンボ』の頃から大好きな俳優で、特に彼が出演している『ベルリン・天使の詩』は、私が最も好きな映画のひとつです。彼の表情はなんとも言えず、好きです。ちょっとニヒルで哀愁があり、とてもキュート!! 母親の不安定な状態を目の当たりにする子どもたちの不安感も非常にリアルに描かれており、自分の子供時代を思い出してしまい、心を揺さぶられました。

結局家族って、何があっても家族。嫌気が差そうが、楽しかろうが、皆で暮らしていくのです。

最後に 2024年 8月 14日ジーナ・ローランズさんがお亡くなりになりました。彼女の演技は唯一無二でかっこいい女性の代表として私の心にも刻まれています。御冥福をお祈りします。

この映画を見た映画館

情報

監督:ジョン・カサヴェテス
製作:サム・ショウ
脚本:ジョン・カサヴェテス
出演者:ジーナ・ローランズ ピーター・フォーク マシュー・カッセル マシュー・ラボート キャサリン・カサベテス レディ・ローランズ

この記事を書いた人
ミドリ
カシミヤフィルム 代表

映画とミニシアターが好きなおばちゃんです。 好きな監督はヴィム・ヴェンダース、ジム・ジャームッシュ、ジャン=リュック・ゴダールなど。ヒューマンドラマ、音楽が素敵な映画が好物です。 その他、海外旅行、喫茶店巡り、猫、音楽が好き