第二回 めぐる沼津映画祭での衝撃!|タケノコの映画危機一発

タケノコの映画危機一発

11月4日に行われた今年のめぐる沼津映画祭無事閉幕しました。改めてめぐる沼津映画祭がどういう映画祭かご説明します。

全国公募から沼津の推薦委員が推す多様なジャンルの短編映画の上映を中心に、まちなかの上映会場や映画にまつわるコンテンツ、周辺の店舗や史跡などを巡っていく映画祭です。推薦委員の役割は、年齢、職業、趣味も様々な一般の各個人の独断と偏見で「推し作品」をセレクトし、アツい推しコメントにより映画の魅力を観客へ届けるという目的があります。自分の場合は応募作品ほぼ全作を観させていただいた上で推し作品を選ばさせていただきました。推し作品には勝手に考えた惹句も考えました!(私たち推薦委員の推しコメントは公式サイトで見れます)なお、上映作品は15作品でした。この中で私は『寄り鯨の声を聴く』、『こんなのどうせ初恋なんかじゃない』、『最後の生活』、『クジラの背中で話すコト』の4作品を推しました。

さて、映画祭では気づきや出会いがたくさんありました。何度も観たはずなのに大きなスクリーンで観るとだいぶ印象が違って観れたのがとても新鮮でした。懇親会では自分の推し作品の監督さんたちとたっぷりお話できて非常に有意義でした。

しかし、プログラムを見ていて疑問だった作品が一つあって、『挨拶』(松川一世監督)とい映画なのですが、瀬戸市の商店街で古道具屋を営む、大町さんというおじいさんの仕事を追いかけたドキュメンタリー。これといって何も起きない大町さんの日常を撮った作品です。この映画全篇ホームビデオで撮られていて画質は悪いし、音も悪いし、字幕もよくない。ノイズだらけ。正直苦手な、ぶっちゃけ言うと嫌な映画でした。なぜ他の推薦委員さんが推したのかちっともわからずにスクリーンで観ました。

最後まで観て、わかりました。

いい映画じゃん。

選考段階で観た際はノイズがただの不快でしたが、スクリーンで観るとノイズが心地いい。他の映画にない味があると思ったのです。これを監督の松川一世さんと監督とご一緒だった音楽担当のスタッフの方に懇親会で直接伝えましたら大ウケしてくれながら、「いやーよかったです」と仰ってくれました。「私は推し作品には惹句をつけるんですよ」と言うと、「惹句のことはよく知ってますよ」と音楽担当の方。即興で『挨拶』の惹句を考えようとしたら、「いやそんな一所懸命考えていただかなくて大丈夫です!」とまたまた大笑い。お見送りの際には監督と音楽担当の方から「惹句!惹句!」と声をかけていただいて非常に可笑しかったです。ある意味今回の映画祭でいちばんの衝撃作だったかもしれません。

映画祭が終わった後映画祭のスタッフさんたちとの飲み会にも参加させていただいたのですが、帰りにたまたま松川監督と音楽担当さんたちの一行に遭遇。やはり「惹句!惹句!」と声をかけられました(笑)。

ちなみに映画祭が終わった次の日にやっと思い浮かんだ『挨拶』の惹句を書いておきます。

この映画、起きていることは何も変わっていないのにとても変な映画です。

大町さんは古道具屋さん
ケンタッキーフライドチキンが好きで
ジョン・ウェインが好きで
なにより奥さんと息子さんが好きで
おちこむこともあるけど
さあ元気に!!元気にいきましょう!

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この記事を書いた人
タケノコ

映画は第一印象がすべて!大学で映画学、主に映画理論を学んでいました。 〈芸術表現とは、演説・独白ではなく、送り手と受け手とが、等しく「対話」し合う事です〉by映画作家・大林宣彦 この大林監督からの言葉を胸に今も映画をなるべく純に、素直に観続けています。好きな作品の感想には勝手に思いついた惹句(キャッチコピー)をいつも書いています。

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