※ラブ&サスペンス編①の続きです。ここでは①の作品で特に印象的だった楽曲をご紹介します。
『アルフィー』~今でも歌い継がれる‟Alfie”
リメイク版では、主題歌‟Old Habits Die Hard”をミック・ジャガーとデイヴ・スチュアートが新たに書き下ろし、ゴールデン・グローブ賞主題歌賞を受賞。この歌はタイトル通り「古い習慣や行動パターンは中々変えられない」彼の人物像を語り、‟Alfie”とともに軽薄な主人公を描く上で重要な要素となっています。
ちなみに‟Alfie”は、バーブラ・ストライサンド、ホイットニー・ヒューストン、ヴァネッサ・ウィリアムスなど様々なシンガーによってカバーされています。ヴァネッサ・ウィリアムスのバージョンは、日本のドラマ『協奏曲』のテーマソングとしても使用されました。
『華麗なるギャッツビー』~20年代ジャズと現代ポップスの競演 オリジナル版ではネルソン・リドルが音楽を担当。主題歌はアーヴィング・バーリンが手掛けた‟What’ll I Do”。「二人の愛は終わってしまった」(‛now that our love dreams have ended’ )、「どうしたら立ち直れるのだろう」(‛What’ll I do’)と、報われないギャッツビーの想いを語るような歌詞です。その他、20年代当時に流行ったジャズナンバーもふんだんに採り入れられています。
リメイク版の主題歌はラナ・デル・レイが書き下ろした‟Young and Beautiful”です。まばゆいほど煌びやかなパーティーの中、「私が若くも美しくもなくなっても、あなたはまだ私を愛してくれるの?」(‘Will you still love me when I’m no longer young and beautiful’)と、デイジーの胸をよぎる一抹の不安を表現しています。
また、バズ・ラーマン監督自らが音楽を監修し、エイミー・ワインハウスの‟Back to Black”などポップミュージシャンの楽曲もジャズ風にアレンジ。ルイ・アームストロングの“Ain’t Misbehavin”や“St. Louis Blues”、ジョージ・ガーシュウィンの“Rhapsody in Blue”などジャズの名曲とともに「狂騒の時代」のムードを再解釈しているのが印象的です。
『太陽がいっぱい』と『リプリー』~ニーノ・ロータvs.ミンゲラ監督のこだわり
オリジナルではニーノ・ロータが作曲したテーマ曲‟La Plage”が映画の成功に寄与し、世界的にも有名になりました。この曲が聴こえてくるだけで、映画のタイトルとアラン・ドロンが無言でヨットを操縦するシーンがまざまざと甦ってくるほどです。ニーノ・ロータの曲には「映像に語らせる力」を倍加させるパワーがありま
そして、リメイク版の『リプリー』ではガブリエル・ヤレドが音楽を担当。ヤレドとミンゲラ監督が書き下ろし、トム・リプリーとディッキーの関係性を旧約聖書に登場する兄カインと弟アベルの物語になぞらえた‟Lullaby for Cain”は、ヴィヴァルディの『スターバト・マーテル』(‟Stabat Mater,RV621”)、チャイコフスキーの「レンスキーのアリア」(“Lenski’s Aria”)(オペラ『エフゲニー・オネーギン』より)と共にトムの胸中に渦巻く「静かなる狂気」を伝えます。
陽光降り注ぐイタリアの風景を想起させるバッハの『イタリア協奏曲』や、レナート・カロゾーネの『アメリカかぶれ』(‟Tu vuo’ fa’ l’americano”)など陽気な楽曲も。
『アメリカかぶれ』(サントラの邦題は『アメリカ人になりたい』)は、劇中でカバーされています。ジャズバーのシーンで、英国のトランぺッター、ガイ・バーカーと彼のクインテットの演奏に合わせて、トム役のマット・デイモンとディッキー役のジュード・ロウと共にステージで歌っているのが、この曲です。
ディッキーはチャーリー・パーカーの愛称‟Bird”を自分のヨットに名付けるほどジャズ好きという設定のため、チャーリーの“Ko Ko”他、チェット・ベイカーの‟My Funny Valentine”や‟You Don’t Know What Love Is”など1950年代を意識したジャズのスタンダードナンバーも挿入されています。
また、ほぼテーマソングのように使用されている‟My Funny~”の歌詞「優しくて面白く、笑わせてくれる可笑しな私の恋人(あなた)」(‛My funny Valentine, Sweet comic Valentine, You make me smile with my heart’)は、ディッキーの存在をほのめかすようで、彼に想いを寄せるトムの心情とリンクさせています。マット・デイモン自らが歌うバージョンもあり、こちらは叶わないトムの恋心を切々と語るようです。
さらに、‟You Don’t Know~”の歌詞「叶わぬ恋を愛するまでは、愛の意味など分からない」(‛You don’t know what love is, Until you’ve loved a love you’ve had to lost’)は、物語全体を貫くテーマと見事に一致します。
このように、『リプリー』にはミンゲラ監督の音楽に対するこだわりが随所に感じられるのです。
『アルフィー』(2004年)
https://open.spotify.com/playlist/2meMXFXmAnStNq8h0sgEXq
『アルフィー』(1966年)
https://open.spotify.com/playlist/4c8SP8SbOnyGEostmQ9RdK
『華麗なるギャッツビー』(2013年)①
https://open.spotify.com/playlist/79d3JEvPPHQiGDWHAT7vQQ
『華麗なるギャッツビー』(2013年)②
https://open.spotify.com/playlist/3JXItqcg369E2ygmBNCOnn
『華麗なるギャッツビー』(1974年)
https://open.spotify.com/playlist/2XlFT8l60nVE6IeXJFoqe2
『リプリー』(1999年)
https://open.spotify.com/playlist/2ulTjcIqCSsVIxFpdjdfyb
『太陽がいっぱい』(1960年)
https://open.spotify.com/playlist/54Iw0CSJyKsdeChtubZnXQ
