はじめまして。
kawamitsuと申します。
この度カシミヤフィルムのWebコラムを書かさせていただくことになりました。
このオンラインコミュニティはミニシアター系作品を愛する人たちがお集まりいただいているかと思います。こうして映画好きの同士が集まれるのはとんでもなく嬉しいことで、主催のみどりさんには感謝してもしきれません。
地方に住んでいる自分にとって、ミニシアター系というちょっとアングラな作品を愛好する方は周りにほとんどいません。必然的に話ができる人も誰一人としていないわけで、この脳内に溜まった爆発しそうなモヤモヤはどこで発散させようか迷っているところでした。
迷っている中でも、ZINEを作ったり、ポッドキャストを始めてみたりしてモヤモヤを小出しに捌いていたのですが、こうして公に「コラムを書いていいよ!」と場を提供していただいたことでだいぶ脳内は晴れやかになりそうです。本当にありがとうございます。
まずは、この場を借りて自己紹介と僕の映画遍歴を述べていきたいと思います。
改めまして、kawamitsuと申します。
2000年3月11日生まれの男です。
現在は地方で会社員をしております。
ですので、サブカルに精通した業界人とか都会のオシャレな人とかそういう者ではありません。
僕はあくまでもただの映画好きです。もちろん、映画以外にもドラマやアニメ、漫画、小説、ゲーム、アート、詩、音楽などなど雑多に作品たちを嗜んでいます。
そうして鑑賞してきた作品は逐一鑑賞記録ノートという自前のノートに、ボールペンを使って感想などを書き込んでいます。正直この時代にアナログな方法で記録を残すというのは効率主義的な人たちからすればナンセンスと言われそうですが、僕はこの方法が好きなんです。ノートを振り返ると、「うわ〜こんなの観てたっけ笑」となったり「懐かし〜あの時はこういう風に作品を観てたのか」となったりして楽しいですよ。
もし、同じようにノートに記録を書いている方がいたら互いにノートを紹介しあう会とかやりたいですね。
僕は、とにかく好奇心を原動力として生きてます。
大体のことは好奇心で始めています。そしてとにかく飽き性で、つまらないと感じたり、自分にあってないと感じたらすぐに辞めてしまいます。
さらに、僕は良くも悪くもこだわりがなく、絶対こういうのがいいという自分の物差しが一定ではありません。その時々によって物差しの長さは変わるので、それに応じて好奇心の幅も矛先も変わってきます。端的に言うなら雑多なんです。
好奇心旺盛で飽き性で雑多な僕にとって、現在まで唯一沼り続けたのが映画でした。映画は高校に入学してすぐ辺りから沼り始めました。
そのきっかけとなったのが、『Requiem for a Dream』という作品です。
僕が生まれた歳に公開されたこの映画は、ダーレン・アロノフスキーが監督した末恐ろしい映画です。監督は言っています「モンスター不在のホラー映画にしたかった」と。いや、この映画が既にモンスターみたいなもんなんですけど。
この映画を観た僕は震えました。
今まで観てきた映画といえば「Back to the Future」や「STAR WARS」といったSFくらいで、それ以外はポケモンとかドラえもんといったアニメくらいです。
そんな僕がこのモンスタームービーを観たとき、脳の中の常識が壊れた音がしました。
映画ってこんな胸糞悪い展開にしてもいいのか!
ジェットカットを多用してもいいのか!ってかオシャレすぎる!
なんだこのアングル!めっちゃおもろい!
全てが新鮮味に溢れた体験で、映画に眠る可能性の扉を開いた瞬間でした。
それからというもの高校時代はレンタルビデオ屋に足繁く通い、10本借りては1週間で観て返し、また10本借りては返しを繰り返しました。
その頃はパッケージで観たい映画を判断しており、とにかく多くの映画に触れるいいきっかけになっていたと思います。
パッケージでめちゃくちゃ惹かれたのはスタンリー・キューブリックの『時計仕掛けのオレンジ』やデヴィッド・リンチの『マルホランド・ドライブ』だったと記憶しています。
こういった作品に出会った時はどこかゾワゾワっとするような感覚が走った気がします。こういう巡り合わせってレンタルビデオ屋だったからこそありましたよね。
今振り返るとこの頃が一番狂ったように映画を観ていた覚えがあります。1日に2,3本観るのは普通でした。バイタリティえぐすぎ。
大学に入ってからはいつしかレンタルビデオ屋に通うことは少なくなり、U-NEXTやNetflixの配信を観るようになっていました。大学は家から片道2時間かかる都会の方にあったので、通学の合間に観るようになってましたね。ただ、行動範囲が広がったおかげで地方にはないミニシアターやアングラな作品も置いてあるレンタル屋に行くことができました。
ミニシアターとの出会いや、映画館で映画を観ることについては別で書きたいと思います。
高校時代は旧作を追い、大学からは新作も映画館で観るようになっていき、雑多に古今東西の映画を漁っていった結果、今こうして映画を語る立場にいるのは運命的で数奇なものだなと思います。
映画を語るといっても圧倒的な分析力で映画を解説することはしません。むしろ独自の解釈を述べていく感じです。言うなれば小林秀雄の評論に近いかもしれません(小林秀雄ほど雄弁ではありませんが)。
そんな僕のコラムですが、よければお付き合いいただけると幸いです。
映画とは旅そのものだ。
好奇心が尽き果てるまで作品から作品へと飛び回る。
期待に胸を膨らませて一つのタイトルを選び取る。
さあ、どんな世界が待っているのだろう。
レクイエム・フォー・ドリーム
監督:ダーレン・アロノフスキー
2001年制作/102分/アメリカ
ブルックリンに住む孤独な未亡人・サラ。お気に入りのテレビ番組から電話抽選で出演依頼を受けたサラは、スリムなドレスを着こなそうとダイエットを決意する。一方、ドラッグ漬けの生活を送るサラのひとり息子・ハリーは、ドラッグの密売を持ちかけられ…。
時計じかけのオレンジ
監督:スタンリー・キューブリック
1971年製作/137分/R18+/アメリカ
原作者のアンソニー・バージェス自身が”危険な本”と語った同名の小説を映像化。非行少年による暴力が横行する近未来のロンドン。アレックスも仲間を引き連れ、喧嘩とレイプに明け暮れる日々を過ごしている。ある夜、中年女性を死に至らしめた彼は刑務所行きに。しかし2年後、とある治療法の被験者になることを条件に、社会に戻ることを許されるが……。アレックスが心酔するベートーベンの第9交響曲や、レイプシーンに流れる「雨に唄えば」など、音楽による効果的な演出が随所に見られる。
マルホランド・ドライブ
監督:デビッド・リンチ
2001年製作/146分/PG12/アメリカ
「ブルーベルベット」「ワイルド・アット・ハート」の鬼才デビッド・リンチが、ハリウッドを舞台に2人の女が織りなす物語を悪夢のように不条理な展開で描いたミステリードラマ。ロサンゼルス北部の山を横断する曲がりくねった道路“マルホランド・ドライブ”。ある夜、車の衝突事故が起こり、唯一の生存者である女は傷を負ったままハリウッドの街にたどり着く。高級アパートの一室に身を隠した彼女は、そこで女優志望のベティと遭遇。女はとっさに“リタ”と名乗り、事故に遭って記憶を失っていることをベティに打ち明ける。リタのバッグには大金と青い鍵が入っており、思い出せるのは“マルホランド・ドライブ”という言葉だけ。ベティはリタの記憶を取り戻す手伝いをしようと決意するが……。主演は「21グラム」のナオミ・ワッツと「パニッシャー」のローラ・ハリング。2001年・第54回カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞した。